本書(*)は、経済産業省の若手新政策プロジェクトによって執筆された政策提言書です。本書の中心テーマは「デジタル赤字」、つまりソフトウェアやデジタルサービスの輸入超過による国際収支の悪化にあります。
著者の津田通隆氏を中心とする執筆チームは、既存の統計だけでは見えづらい日本の産業構造の課題を明らかにし、「なぜ日本はデジタル競争に負けているのか?」という問いに対して、独自モデルに基づく分析と具体的な対策を提示しています。ハードウェア中心の産業構造が時代遅れとなり、ソフトウェアとデータが付加価値の源泉となった現代において、日本の戦略的な転換の必要性が強調されています。
特に注目すべきは、デジタル広告、アプリケーション、ミドルウェアなどで外資が圧倒的なシェアを持っているという実態と、それに伴う「デジタル敗戦」のリスクです。本書は、これを回避するために企業・政府・投資家が取るべき具体的な戦略(たとえばアプリケーション市場の戦略的支援や、量子技術を見据えた長期投資など)を示しています。
*出典:経済産業省