本書(*)は、ロシアの大文豪フョードル・ドストエフスキーによる心理・哲学小説です。
物語は、若き元大学生ラスコーリニコフが、ある「理論」に基づいて高利貸しの老婆を殺害し、その後、罪の意識に苛まれて精神的に追い詰められていく過程を描いています。彼の中には、「偉人ならば一般の道徳を超えて行動しても許されるのではないか」という思考がありますが、犯行後、彼はその思想と現実の間で苦悩します。
本作は、罪とその贖い、人間の内面の闇、そして愛と救済の力を深く掘り下げています。彼を取り巻く人々、貧しさの中で身を売るソーニャ、酒に溺れた父マルメラードフなどの人生模様も、登場人物の生き様と罪との関係を浮き彫りにしながら、物語に重層的な厚みを加えています。
*出典:青空文庫